海外産業博物館  NO.22


科学博物館 Science Museum

科学技術と工業の殿堂

−第1回万国博がルーツ−


石田正治  by ISHIDA Shoji


科学博物館・東ホールに展示されている
巨大なランカシャー・ミル・エンジン

 ロンドンの科学博物館は、ハイドパークの南、サウスケンジントンにある。先に紹介したヨーク鉄道博物館と同じで、国立科学技術博物館の一部門であり、イギリスの科学・産業・技術系の博物館のセンターとなっている。館内の壮大さに比べて入口はこじんまりとしているのでウッカリすると通り過ぎてしまいそうな建物である。
 一九世紀の中頃、イギリスでは教育に対して国家的な関心を呼び起こそうとする様々な運動が行われた。そのひとつが1851年開催の第一回万国博覧会である。その展示品を引き継いで、産業教育の振興と科学技術の産業への応用に資するために、1857年、サウスケンジントン博物館として創設された。その後、コレクションが増大したために、1909九年、美術工芸部門をビクトリア・アルバート博物館として分離し、今日の科学博物館となっている。その長い歴史の中で、科学技術と工業の振興のために国民教育に果たした役割は計り知れない。
 館名は科学博物館であるが、産業技術史関係の展示物が多い。ワットの蒸気機関、最古の機関車パッフィング・ビリー号、モーズレーの旋盤、クロンプトンのミュール紡績機など、世界史に登場するような名品が並び、科学史、技術史の学習教材には事欠かない。収蔵点数は約五万点、内1万5千点を展示、飛行機や機関車のような巨大なものも一点であるから、その規模が想像されよう。
博物館は1988年に、館内展示の大改装し、ローンチ・パッドと呼ばれる体感学習室を新設、教育活動面でもリーダー的な立場にあるが、次回に詳しく紹介する。
(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)


 →海外産業博物館INDEX  →HOME http://www.tcp-ip.or.jp/~ishida96


This site is maintaind by ISHIDA Shoji. For more information about the this site, please write in Japanese, in english, auf Deutsch : ishida96@tcp-ip.or.jp


本文並びに写真の無断転載をお断りします。論文等に引用される場合は、石田正治 ishida96@tcp-ip.or.jp にお問い合わせ下さい。商用に利用される以外、特に不都合がない場合を除き、本文の引用並びに写真の転載を許可致します。その場合、通常の印刷物と同様に出典を明記していただきます。


Copyright(c)1997 by ISHIDA Shoji. All rights reseaved. Update : 1997/7/3
Last Update : 1997/7/3
0000 since 2007/02/05